九州の Unreal Engine ミートアップもついに四回目!
2016年4月24日、博多駅近くにある福岡県福岡東総合庁舎にて、第4回になるUnreal Engineミートアップが開催されました!
主催である株式会社リンクトブレインに所属している筆者は、前回につづき開催のお手伝い&記録係として参加しました。今回も、その模様を詳し~くお届けできればと思います!

続々と来場者が…!
リンクトブレイン曽我による講演
最初の講演は、リンクトブレインのアートディレクター曽我による「DCCツールからのインポート&マテリアル基礎」。
ゲーム開発やアートに関わるお仕事をされた方なら、一度は触れるであろうDCC(Digital Content Creation)ツール。その中でも特に3DCGを作成するDCCツールは、3Dグラフィックを扱うUE4と切っても切れない関係です。
今回は、そんなDCCツールで作成した3Dコンテンツを、UE4にインポートするための基礎知識や、役に立つ情報を紹介いただきました!

使用するDCCツールは、Autodesk社の「MAYA」です。
題目のとおり、「アーティストにとってのUE4」、「UE4 基礎用語」といった土台的なお話から。
登壇者である曽我がアートディレクターであるため、今回の講演はエンジニア以外、とくにMAYAなどを扱うアーティストにとっては、非常に入り込みやすかったかもしれません。筆者は企画なので完全に門外漢ですが、とてもわかりやすいと思いました。
以前から話題になっていることではありますが、UE4の魅力はやはり、普段エンジニアに任せていた工程をアーティストだけで実行できてしまうところ、とのこと。
確かに、実機にのせてみないとわからないことも多いですからね…!
つづけて「DCCツールでの制作で注意すること」として、UE4でインポートする前提の3DCG作成で留意すべきポイントをまとめて紹介していただきました。
「極端に大きなポリゴンは並べない」「四角形で非平面を作らない」「ポリゴンの重ね回避」や、「エッジ処理」「五角形以上にフェースを作らない」といった、〈推奨しない制作〉をお話しいただき、またDCCツールからUE4にインポートする際、「リッチに見えるけど処理が軽い」ものを作るにはどうしたら良いのか? といった、VRやリアルタイムレンダリングを想定したレクチャーとなっており、とくに映像系の3DCG製作者がUE4を扱うときに有益となりそうな情報が多かったように感じました。
このあたりからMAYA未経験者の筆者は、話の内容についていくのがやっとに……。

DCCツールからエクスポート、そしてUE4でのインポートまでの重要なポイントを説明いただけました。
つづいて、DCCツールからUE4へインポートのデモ。少ない手順で制作した通路がUE4上に出現しました! 当たり判定(コリジョン)もバッチリです。
デモの後には、Photoshopで、NVIDIAのTool For Adobe Photoshop というプラグインを使用したノーマルマップの作成方法についての紹介です。
https://developer.nvidia.com/nvidia-texture-tools-adobe-photoshop
こちら、ご参考までにハンズオン動画を作成しました!
ちなみに、シェアウェア以外でノーマルマップを作成される場合は、
「xNormal」や、Web上でノーマルマップを作成できる以下サイトがオススメだそうですよ!
xNormal
http://www.xnormal.net/NomalmapOnline
http://cpetry.github.io/NormalMap-Online/
続いて、UE4における物理ベースレンダリングについての説明です。
UE4のマテリアルエディタについて、思ったとおりの結果(表現)を得るための作成方法を基本的な機能の解説を交えて紹介。
そして実際にデモでマテリアルの作成です。
実際のデモでは、サクサクっと操作して、あっという間にカッコいい雰囲気のマテリアルができあがっていきました……途中、ノーマルマップがインポートがされていなかったというアクシデントに見まわれても、あっさりと巻き戻って修正し、わずかな時間でマテリアル完成! は、早い……!
マテリアルをドラッグ&ドロップでレベルへ反映したときには(あまりの簡単さに?)ドヨメキが起きるほど。
こういったビジュアライズされた環境で物理ベースマテリアルを作成し、かつ容易に反映&確認できる環境は、UE4の魅力のひとつですね!
リンクトブレイン上林による講演
続いては、3DCGデザイナー上林による「VR制作デモンストレーション」です。
今年は「Oculus Rift」にはじまり、「Gear VR」「HTC VIVE」や、「PS VR」まで数多くのVR専用機器が登場し、にわかに活気づいているVR界隈……。
巷(の投資家さんたちから)は、「VR元年」なんて言われていたりするみたいですね。
そしてもちろん、UE4では「VR」に対応したプロジェクトを作成することができてしまいます!
今回の講演では、そんな「今アツイVR」をUE4で体験するために必要な設定や基礎知識を紹介していただきました。

開場にて、すでにVRを体験されている方をお聞きしたところ、約半数の挙手が。
講演はまず、VRのメリットについての所見から。
やはりVR最大のメリットは、その「没入感」、「その場所にいなくてもそこにいる体験」とのこと。ゲームはもちろんのこと、建築系や空間を提供する事業の方にとっては、顧客の意思決定を促す非常に有用なツールになるのではないか、と上林。
ただ実情、リアルが故に現実とのギャップを感じてしまう、いわゆる「VR酔い」が課題とのことで、まだまだ研究段階といったところのようです。これからの研究が待たれますね。
今回の講演では「Gear VR」が使用されました。
若干スペックが低く、他のVRにあるようなポジショントラッキング機能が削られているものの、一体型で場所をとらず、比較的安価にVRを体験することができることが魅力の「スマートフォンVR」です。……ちなみに「Oculus Rift」も発注していたのですが、今回は残念ながら間に合わず…(涙)
「GearVR」を使用するということで、まずはAndroid開発に必要な説明から。
UE4には、Androidで自作プログラムを動かすための色々な環境設定を一括で行ってくれるツールが提供されており、すでにUE4のインストールフォルダに入っているとのことです。ありがたや……!
※Androidは開発者モード、提供元不明アプリインストールをオンにする必要が。自己責任でお願い致します。
続けて、端末IDを収得することや、GearVR開発に必要となる「OSIG File」ファイルのダウンロードなどをまとめて紹介いただいたあとは、実際にUE4エディタでプロジェクトを作成してレクチャーです。
「Gear VR」に出力するためのプラグイン設定や、Android用のプロジェクト設定を、実際にパッケージング(apkファイルを作成)するまで、順を追って解説いただきました。
じつはプラグイン設定を変更しておかないと「Oculus Rift」と衝突してしまい問題が起きるコトなどの「知っておくべき事柄」についての説明などは、今から制作を始めてみようという方にとって非常に有用なTIPSとなったのではないでしょうか。
そちらの様子も、ハンズオンとしてまとめさせていただきました!
VR体験会&懇親会
登壇終了後、VRの体験会と懇親会がスタートです。
短い時間でしたが、VR体験会ではご来場いただいたほぼすべての方に体験いただくことができました。やはり皆さん、かなりVRについて興味を持っているようです。
体験会と同時に実施されていた懇親会でも、異なる分野のみなさんが自然とコミュニケーションができる場となっていました。
もしこの記事をご覧になった方で、同様に気になった方は検討してみてはいかがでしょうか。
Androidの画面をストリームするキャプチャツール
http://www.mirrorop.com/
書籍のご紹介「建築インテリアビジュアライゼーション」
今回のミートアップに「Unreal Engine4 建築インテリアビジュアライゼーション」の著者である大橋ユキコさんにお越しいただくことができました。

大橋ユキコさんに、著書をご紹介いただきました!
……ということで、当ブログでもご紹介させていただきます!
住宅やインテリアなどのビジュアライゼーション業務をされている方はもちろん、押さえておくべき基礎知識も多数収録されており、デザインとUE4に興味がある方であれば必読の内容です!
終わりに
今回は若干アート色の傾向が強かったものの、ゲーム関連・映像関連の関係者や、UE4・VRに興味を持っている学生の方々など、非常に多種多様な分野の方々にお集まりいただけたことが印象的でした。
今後もいただいたご要望に沿ったかたちでミートアップを開催して、九州のクリエイティブが発展していくお手伝いができればと思います。ゆくゆくは、九州でもUnreal Engine フェスが開催できることを願って!
以上、第四回「Unreal Engine4 ミートアップセッション in 九州」のレポートでした。
コメントや、ミートアップへの要望など、どしどしお問い合わせください!
出席者の皆様、お疲れ様でした。次回もよろしくお願いいたします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!